頭が痛くなったら、頭痛薬を飲む。
しばらくすると痛みが治まる。
ところが仕事をすると、また首や肩がパンパンになり、頭が重くなる。
そして、また薬を飲む。
そんなことを繰り返していませんか?
最初にお伝えしたいのは、頭痛薬を飲むことが悪いわけではありません。
つらい頭痛を我慢する必要はありませんし、緊張型頭痛でも鎮痛薬が治療に使われます。
ただ、私たちが施術をしていると、こんな疑問を感じることがあります。
薬を飲んで頭痛が治まったあとも、首や肩を触ると強い筋緊張や圧痛が残っている方がいる。
では、
「痛みが消えたこと」と「痛みを生み出していた身体の状態が変わったこと」は、同じなのでしょうか?
この記事では、緊張型頭痛と首・肩の筋肉、そしてトリガーポイントという視点から考えていきます。
緊張型頭痛は「頭」だけの問題ではありません
緊張型頭痛は代表的な一次性頭痛の一つです。
典型的には、
- 頭を締めつけられるように痛む
- 頭全体が重い
- 後頭部が重苦しい
- 首や肩のこりを伴う
- ズキズキというより圧迫されるように感じる
といった症状がみられます。
もちろん、緊張型頭痛を単純に、
「肩がこっているから起こる頭痛」
と説明することはできません。
ストレスや睡眠、痛みの感じ方など、さまざまな要因が関係します。
一方で、首や肩、頭部周辺の筋肉に強い圧痛やトリガーポイントがみられる人がいることも知られています。
私たちが整体院で注目するのは、この部分です。
トリガーポイントとは?

トリガーポイントとは、筋肉の中にみられる過敏な部位のことです。
そこを押したときに、その場所だけではなく、離れた場所に痛みを感じることがあります。
これを関連痛と呼びます。
たとえば、首や肩の筋肉を押しているのに、
「そこを押されると、いつものこめかみの痛みが出ます」
「目の奥に響きます」
「頭の後ろから上に痛みが走ります」
と感じることがあります。
緊張型頭痛では、
- 上部僧帽筋
- 後頭下筋群
- 胸鎖乳突筋
- 側頭筋
- 肩甲挙筋
などのトリガーポイントが研究されています。
つまり、
頭が痛いからといって、痛みを感じている場所だけに問題があるとは限らない
ということです。
上部僧帽筋のトリガーポイント
僧帽筋は、首から肩、背中に広がる大きな筋肉です。
特に上部僧帽筋は、
- パソコン作業
- 肩をすくめる姿勢
- 長時間のスマートフォン
- 緊張して肩に力が入り続ける状態
などで負担を受けやすい場所です。
上部僧帽筋にあるトリガーポイントから、首や側頭部などに関連痛が出ることがあります。
「頭が痛い」と感じている人を触診すると、
肩の筋肉を押した刺激が、いつもの頭痛に似た場所へ響く
ことがあります。
こうしたケースでは、頭だけを見ていても身体の状態を十分に把握できません。
後頭下筋群と頭痛
後頭下筋群は、頭の付け根の深いところにある小さな筋肉です。
頭の位置を細かく調整する役割があります。
デスクワークなどで、
頭が身体より前に出た状態
が長時間続くと、頭が前に落ちないように後頭下筋群などが働き続けることがあります。
後頭下筋群のトリガーポイントでは、後頭部から側頭部などへの関連痛が報告されています。
実際、慢性緊張型頭痛の人では後頭下筋群の活動性トリガーポイントが確認された研究もあります。
頭痛があるから頭を揉むのではなく、
頭を支えている首の筋肉まで確認する必要がある
ということです。
肩甲挙筋にも負担が集中します
肩甲挙筋は、その名前の通り肩甲骨を引き上げる筋肉です。
首から肩甲骨につながっています。
長時間のデスクワークでは、
- 腕を前に出し続ける
- 肩甲骨がほとんど動かない
- 肩を少しすくめた状態が続く
ことで、肩甲挙筋に負担が集中することがあります。
慢性緊張型頭痛の人を対象にした研究でも、肩甲挙筋を含む首肩の筋肉に活動性トリガーポイントが確認されています。
当院でも、頭痛のある方では僧帽筋だけでなく、肩甲挙筋や後頭下筋群まで確認します。
頭痛薬は、このトリガーポイントだけを狙っているわけではありません
ここが今回、一番お伝えしたいところです。
一般的な鎮痛薬は、痛みを軽減するための薬です。
しかし、
「右の上部僧帽筋のこの1cmだけを緩める」
「左の肩甲挙筋にある圧痛点だけを緩める」
「後頭下筋群のこのトリガーポイントだけに作用する」
という薬ではありません。
これは医療が進歩していないからではありません。
内服薬という方法そのものが、血流などを介して身体に作用する治療だからです。
つまり、特定の筋肉の一点だけを触診し、その一点だけを選択して作用させる治療とは原理が違います。
筋弛緩薬なら筋肉を緩められるのでは?

「筋弛緩薬があるのでは?」
と思う方もいるでしょう。
その通りです。
チザニジンなどの中枢性筋弛緩薬は、筋緊張を低下させる目的で使われます。
しかし、これも、
「僧帽筋のこのトリガーポイントだけ」
「肩甲挙筋のこの硬結だけ」
を選択して緩める薬ではありません。
中枢神経系を介して筋緊張に作用する薬です。
つまり、
筋肉を緩める薬が存在することと、頭痛に関係している特定の筋・特定の部位を選択して緩められることは別の話です。
ここに、薬と手技療法の大きな違いがあります。
手で触れるからできることがあります

私たちが施術で行っているのは、とてもアナログなことです。
筋肉を触る。
圧痛を探す。
押したときに、いつもの頭痛と似た痛みが再現されるか確認する。
左右差を確認する。
首を動かしたときの変化を見る。
肩甲骨を動かしてみる。
つまり、
「どこの筋肉の、どの部分に負担が集中しているのか」を一つずつ確認します。
これは薬とはまったく違うアプローチです。
薬が全身あるいは中枢を介して作用するのに対して、手技療法では、
触って確認した場所に、その場で局所的にアプローチできます。
これがトリガーポイントセラピーの大きな特徴だと考えています。
だからといって「薬より整体が優れている」わけではありません
ここは誤解してほしくありません。
頭痛にはさまざまな種類があります。
片頭痛には片頭痛の治療がありますし、薬が必要な頭痛もあります。
緊張型頭痛も、筋肉だけが原因ではありません。
さらに、トリガーポイント療法についても、効果を示す研究はある一方で、すべての緊張型頭痛に有効だと断定できるほど単純ではありません。
だから、
薬か整体か
という対立で考える必要はありません。
役割が違うのです。
薬が得意なこと、手技が得意なこと
薬には薬の役割があります。
痛みを抑える。
炎症を抑える。
神経系に作用する。
頭痛の種類によっては発作を予防する。
これは非常に重要です。
一方で、手技療法には、
- どの筋肉が緊張しているか触って確認する
- 圧痛部位を確認する
- 関連痛が再現されるか確認する
- 特定の筋肉に局所的に刺激を加える
- 肩甲骨や胸郭の動きを確認する
という特徴があります。
同じことをしているわけではありません。
痛みが消えても、筋肉への負担まで消えたとは限りません

頭痛薬を飲んで、頭痛がなくなった。
これはよいことです。
しかし、その人がその後、
8時間パソコンに向かい、
頭を前に出し、
肩をすくめ、
肩甲骨をほとんど動かさず、
また上部僧帽筋や肩甲挙筋に負担をかけ続ければどうでしょうか。
薬で痛みがなくなっても、
身体に負担をかけている仕事環境や身体の使い方は、そのままです。
だからまた負担が蓄積します。
そして再び頭痛が起こる。
この繰り返しになっている人もいます。
「薬で治まった=原因がなくなった」とは限りません

ここを混同しないことが大切です。
薬で痛みが軽くなることは、
治療として大切なことです。
しかし、
症状が軽くなったことと、身体に負担をかけていた条件がなくなったことは同じではありません。
首肩の筋緊張。
長時間の同一姿勢。
肩甲骨が動かない身体の使い方。
睡眠不足。
ストレス。
運動不足。
こうした背景は、頭痛薬を飲んだからといって自動的に変わるものではありません。
頭痛薬を飲む日が増えている方は注意してください
さらに、頭痛薬を頻繁に使用している場合には、
薬剤の使用過多による頭痛
にも注意が必要です。
以前は「薬物乱用頭痛」と呼ばれることが多かった頭痛です。
もともと片頭痛や緊張型頭痛などがある方が、急性期の頭痛薬を頻繁に使用することで、頭痛が慢性化したり悪化したりすることがあります。
頭が痛い。
薬を飲む。
また痛くなる。
また薬を飲む。
という循環に入ってしまうことがあります。
最近、
- 薬を飲む日が増えた
- 以前より薬が効きにくい
- 頭痛そのものが増えた
- 頭痛が怖くて早めに薬を飲んでいる
という方は、自己判断で薬を増やすのではなく、頭痛外来や脳神経内科などで相談してください。
薬をやめて整体に来てください、という話ではありません
ここも非常に重要です。
私たちは、
「薬をやめて整体に来てください」
とは考えていません。
薬の中止や変更を整体院が指示することもできません。
必要な薬は、医師や薬剤師と相談して適切に使うべきです。
そのうえで、
薬では直接確認できない身体の状態を、手で確認する。
これが私たちの役割です。
ふじさわ整体院ではトリガーポイントを確認します
当院では、緊張型頭痛が疑われる方に対して、
- 上部僧帽筋
- 肩甲挙筋
- 後頭下筋群
- 胸鎖乳突筋
- 側頭筋
- 肩甲骨周囲
などを確認します。
ただ硬い場所を揉むのではありません。
圧痛があるのか。
関連痛が出るのか。
いつもの頭痛が再現されるのか。
首を動かすと変化するのか。
左右差があるのか。
こうしたことを確認したうえで、トリガーポイントセラピーを行います。
トリガーポイントを緩めたら終わり、でもありません
ただし、
トリガーポイントを押して緩めれば全部解決
とも考えていません。
なぜその場所に負担が集中したのかを考える必要があります。
たとえば、
デスクワークで頭が前に出る
↓
胸や肩甲骨が動かなくなる
↓
頭を支えるため首肩の筋肉が働き続ける
↓
同じ筋肉に負担が集中する
という状態なら、局所だけ施術しても、同じ生活を続ければまた負担がかかります。
そのため当院では、
- 肩甲骨の動き
- 胸郭の動き
- 首の可動域
- デスク環境
- 身体の使い方
まで確認します。
医療が進歩しても、役割の違いは残ります
医療はこれからも進歩していくでしょう。
より効果の高い頭痛薬も開発されるかもしれません。
しかし、
薬で痛みをコントロールすることと、手で筋肉を触って局所を評価することは、そもそも方法が違います。
これは、
どちらが古い、どちらが新しいという話ではありません。
目的と役割が違うのです。
内服薬は、特定の肩甲挙筋の一点を指で確認し、その場所だけに刺激を加える治療ではありません。
逆に整体では、片頭痛に対する薬物治療や、危険な頭痛の診断はできません。
お互いにできることと、できないことがあります。
まとめ|痛みを抑えることと、痛みを生みやすい身体を確認すること
頭痛薬で痛みが治まる。
それは大切なことです。
しかし、
「痛みが治まった=首や肩の状態まで変わった」
とは限りません。
特に、
- 首肩がいつも硬い
- デスクワークの後に頭痛が出る
- 肩を揉むと頭に響く
- 後頭部を押すといつもの痛みが出る
- 薬を飲む日が増えている
という方は、
痛みだけではなく、首肩の筋肉に何が起きているのか
一度確認してみてもよいでしょう。
内服薬には内服薬の役割があります。
医療には医療の役割があります。
そして、
手で触れ、圧痛や関連痛を確認し、特定の筋肉・特定の部位に直接アプローチする。
これは、手技療法だからできることです。
ふじさわ整体院では、薬を否定するのではなく、
医療では扱う目的が異なる「筋肉への局所的な負担」を確認すること
を大切にしています。
薬で痛みを抑えること。
身体にかかっている負担を見直すこと。
どちらか一方ではなく、それぞれの役割を理解して使い分けることが、繰り返す頭痛と向き合ううえで大切だと考えています。
東海道線・小田急線・江ノ島電鉄線 藤沢駅南口より徒歩3分
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