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自律神経失調症とは?「自律神経ですね」で思考停止しないために整体師が伝えたいこと

お知らせ

「めまいがする」

「動悸がする」

「頭が重い」

「眠れない」

「身体がだるい」

「胃腸の調子も悪い」

いくつもの不調が重なって病院を受診した。

検査では大きな異常が見つからない。

そこで、

「自律神経ですね」

と言われた。

なんとなく納得したような気がする。

でも、少し考えてみてください。

それで本当に、なぜ自分がつらいのか分かったのでしょうか?

私は「自律神経」という言葉には少し注意が必要だと思っています。

なぜなら自律神経は、

何かを説明したような気にさせてしまう、非常に便利な言葉だからです。

めまいも自律神経。

動悸も自律神経。

頭痛も自律神経。

胃腸の不調も自律神経。

肩こりも自律神経。

眠れないのも自律神経。

これでは、どんな症状でも説明できてしまいます。

しかし、

何にでも使える説明は、ときに何も説明していないのと同じです。

この記事では、「自律神経を整えればすべて解決する」という話はしません。

むしろ反対です。

「自律神経ですね」で思考停止しないために、私たちは何を考えるべきなのか。

整体師として10年以上、身体の不調を訴える方と向き合ってきた立場から考えてみたいと思います。


自律神経とは何なのか?

まず、自律神経そのものが怪しい存在というわけではありません。

自律神経は実際に存在する神経系です。

心拍、血圧、発汗、消化、排尿、体温調節など、自分の意思だけでは直接コントロールできない身体の機能に関係しています。

大きく、

  • 交感神経
  • 副交感神経

に分けられます。

ここまではよく知られています。

問題はここからです。

よく健康情報では、

「交感神経=緊張」

「副交感神経=リラックス」

と説明されます。

そして、

「現代人は交感神経が優位だから、副交感神経を高めましょう」

という話になります。

しかし、人間の身体はそんな単純なスイッチではありません。

運動するときには心拍数を上げる必要があります。

暑ければ汗をかく必要があります。

立ち上がれば血圧を調整しなければなりません。

食事をすれば消化活動が変わります。

つまり、

交感神経が働くことも、副交感神経が働くことも、どちらも正常な身体の反応です。

「交感神経を悪者にして、副交感神経を増やせば健康になる」というほど単純ではありません。


自律神経失調症とは何か?

「自律神経失調症」という言葉は非常によく知られています。

しかし、

血液検査をして、

「あなたの自律神経は70%乱れています」

と数値で診断できるような単純な病気ではありません。

頭痛、めまい、動悸、発汗、倦怠感、胃腸症状などがあり、必要な検査をしてもそれだけでは症状を説明できない場合などに、「自律神経失調症」という言葉が使われることがあります。

ここで大切なのは、

「自律神経失調症と言われた」=症状の原因が完全に特定された

とは限らないことです。

むしろ、

「重い病気は見つからなかった。でも症状は確かにある。では、これから何を考えていくのか」

という出発点になる場合があります。


「自律神経ですね」は説明ではなく、説明の入口かもしれない

たとえば動悸があるとします。

そこで、

「自律神経の乱れですね」

と言われれば、なんとなく原因が判明した感じがします。

でも、本当に知りたいことはその先ではないでしょうか。

なぜ動悸が起きているのか。

心臓に問題はないのか。

貧血はないのか。

甲状腺はどうなのか。

睡眠不足は関係していないのか。

強い不安や緊張が続いていないか。

薬やカフェインなどの影響はないのか。

そこまで考えて初めて、

「なぜこの人に動悸が起きているのか」

という話になります。

「自律神経」という言葉を一枚かぶせただけでは、原因を分解したことにはなりません。


医学的には、むしろ「思考停止」になることがある

かなり強い言い方をします。

私は、

「自律神経ですね」で話を終わらせた瞬間、医学的にはむしろ思考停止になることがある

と考えています。

もちろん、医療機関では必要な検査を行ったうえで診断しています。

医学そのものを否定しているわけではありません。

むしろ逆です。

医学は本来、

「他に原因はないか」

「危険な病気は隠れていないか」

「この症状をどう説明できるか」

と可能性を一つずつ検討していくものです。

だからこそ、

最後に「自律神経」という便利な言葉ですべてを包んでしまってはいけない

と思うのです。


そして整体も、まったく同じです

ここで医療だけを批判するつもりはありません。

整体業界にも同じ問題があります。

むしろ整体業界の方が、

「自律神経」

という言葉を乱用しているかもしれません。

「背骨が歪んで自律神経が乱れています」

「骨盤がずれて交感神経が優位になっています」

「首を調整すれば副交感神経が働きます」

「整体で自律神経を正常に戻します」

非常に分かりやすい説明です。

そして分かりやすいからこそ、危険です。

なぜその人のめまいが背骨の歪みから起きていると分かったのでしょう。

なぜその人の胃の不調が骨盤のズレによるものだと判断できるのでしょう。

どうやって「自律神経が正常になった」と確認したのでしょう。

ここを飛ばして、

症状→自律神経→背骨→整体

とつなげてしまえば、何でも整体で説明できてしまいます。

それでは「自律神経ですね」と言っている医療と同じです。


当院は「自律神経を整えます」と簡単には言いません

これは整体院としては少し不利な言い方かもしれません。

「自律神経を整えます」

と言い切った方が分かりやすいからです。

でも、当院ではそう簡単には言いません。

整体で自律神経失調症そのものを診断することはできません。

また施術後に、

「はい、自律神経が正常になりました」

と確認することもできません。

だから私たちが見るのは、もっと具体的な身体です。

首がどのくらい動くのか。

肩にどれくらい力が入っているのか。

背中が硬くなっていないか。

呼吸するときに肩ばかり持ち上がっていないか。

長時間座ったあとに症状が強くならないか。

歩いた方が楽なのか。

横になると楽なのか。

仕事の日と休日で違いはあるのか。

押して痛む筋肉はどこなのか。

身体を動かすことで症状は変化するのか。

「自律神経」という見えない言葉より、まず目の前で確認できることを見る。

これが整体の仕事だと思っています。


自律神経失調症を治す薬はあるの?

ここも少し誤解があります。

自律神経失調症に伴う症状に対して使用される薬はあります。

日本ではトフィソパムなど、「自律神経調整剤」と分類される薬も存在します。

また実際の診療では、症状や背景に応じて、

  • めまいに対する薬
  • 胃腸症状に対する薬
  • 頭痛などに対する薬
  • 不安や抑うつに対する薬
  • 睡眠に関する治療

などが検討されることがあります。

しかし、

「自律神経失調症という一つの原因を、一錠で取り除く薬がある」

という話ではありません。

症状を軽減することには大きな意味があります。

つらい症状を我慢する必要もありません。

一方で、

症状が軽くなったことと、なぜその症状が起きたのかが完全に解明されたことは別です。

これは薬だけでなく整体でも同じです。

施術を受けて肩が軽くなった。

頭痛が楽になった。

よく眠れた。

それ自体は大切な変化です。

でも、

「だから自律神経失調症の原因が治った」

と一段飛ばしてはいけません。


「リラックスできた=自律神経が治った」でもない

整体やマッサージを受けたあと、

「眠くなった」

「身体がぽかぽかした」

「すごくリラックスできた」

という方はいます。

これは悪いことではありません。

気持ちよく施術を受け、緊張が取れたのであれば、それ自体には価値があります。

しかし、

リラックスしたことと、自律神経失調症が治ったことは同じではありません。

お風呂に入ってもリラックスします。

好きな音楽を聴いてもリラックスします。

休日に海を眺めてもリラックスします。

それらが身体に良い影響を与える可能性はあります。

しかし、それをすべて、

「副交感神経が優位になったから自律神経が整った」

と説明する必要はありません。

気持ちよかったなら、気持ちよかったでいい。

身体が楽になったなら、身体が楽になったでいい。

分からないことまで「自律神経」という言葉で埋めなくてもいいのです。


では整体には何ができるのか?

では自律神経失調症と呼ばれる方に、整体は何もできないのでしょうか。

そんなことはありません。

たとえば、

「頭が重くて病院へ行った。検査では大きな異常はなかった。でも首を触ると驚くほど硬い」

「動悸について医療機関では問題がないことを確認した。でも毎日パソコンの前で身体に力が入りっぱなしになっている」

「眠れない。寝具や生活環境だけでなく、首や背中が痛くて寝返りするたびに目が覚める」

こういう場合があります。

このとき整体師が考えるのは、

『自律神経を治そう』ではありません。

首肩の筋緊張が強いなら、そこを緩める。

身体を動かしていないなら、無理のない運動を考える。

胸まわりが硬く呼吸しづらいなら、呼吸を邪魔している身体的要因がないか確認する。

寝返りが痛いなら、なぜ痛いのかを調べる。

身体の問題を、身体の問題として一つずつ減らします。

結果として身体が楽になり、

眠りやすくなった。

活動量が増えた。

不安が減った。

ということはあるでしょう。

しかし、

それを何でも「自律神経が整ったから」と説明しない。

私たちはこの姿勢を大切にしています。


首や肩の筋肉は、薬を飲んだだけで柔らかくなるのか?

ここは整体師として非常に興味があります。

首や肩を触ると、明らかに強い筋緊張や圧痛がある方がいます。

長時間のデスクワーク。

前かがみの作業。

スマートフォン。

育児。

歯科治療のような長時間の前傾姿勢。

精神的な緊張。

さまざまな要因が重なっています。

もし薬によって不安感や頭痛が軽くなったとしても、

肩甲挙筋や僧帽筋などの局所的な筋緊張まで、その人にとって十分な状態まで改善しているとは限りません。

だから私たちは実際に身体を触ります。

動かします。

押します。

左右差を見ます。

どの動作で症状が変わるのか確認します。

ここには、

薬とは違う「身体を直接評価する」という整体の価値

があります。


病院の検査で異常なし。それでも症状がある人はどうすればいい?

「異常なし」と言われた。

でもつらい。

この状態は患者さんにとって非常につらいものです。

「異常がないのなら気のせいなのか」

と思ってしまう方もいます。

しかし、

検査で重大な病気が見つからなかったことと、症状が存在しないことは別です。

まず重大な疾患が除外された。

それは非常に重要な情報です。

そこから、

睡眠はどうか。

食事はどうか。

仕事環境はどうか。

精神的な負担はどうか。

運動量はどうか。

筋肉や関節はどうか。

薬やカフェインなどの影響はないか。

一つずつ考えていけばいい。

「検査で異常なし」で終わりではありません。

同時に、

「だったら整体が原因を治せる」でもありません。

医療で分かること。

整体で確認できること。

本人にしか分からない生活上の問題。

それぞれを組み合わせて考える必要があります。


「自律神経」というマジックワードから一度離れてみる

自律神経について調べれば調べるほど、

「自律神経を整えなければ」

という気持ちになる方がいます。

朝日を浴びる。

腸内環境を整える。

運動する。

深呼吸する。

湯船につかる。

ストレスを減らす。

睡眠時間を確保する。

もちろん、それぞれ健康にとって意味のあることです。

でも、

自律神経を整えるために一日中、自律神経のことを考えている。

これでは、かえって疲れてしまいます。

そもそも自律神経は、

本人が四六時中意識して操作するための神経ではありません。

だったら、

「今日は30分歩けた」

「首が楽になった」

「昨夜はよく眠れた」

「仕事中に肩へ力を入れすぎなくなった」

「食事が普通に食べられた」

そのような具体的な変化を見ていけばいいのではないでしょうか。


もちろん、整体より病院を優先する症状があります

ここまで「思考停止しない」と書いてきました。

だからこそ、整体側も思考停止してはいけません。

何でも、

「筋肉です」

「姿勢です」

「トリガーポイントです」

と説明してしまえば同じことです。

特に、

  • 突然経験したことのない激しい頭痛
  • 強い胸痛
  • 急な呼吸困難
  • 意識を失った
  • ろれつが回らない
  • 顔や手足の片側に力が入らない
  • 急激に症状が悪化している

などの場合には、整体ではなく医療機関を優先してください。

症状によって、

内科、循環器内科、脳神経内科、耳鼻咽喉科、婦人科、心療内科、精神科など、適切な診療科は変わります。

分からない場合は、まずかかりつけ医や内科で相談する方法もあります。


整体は「医学の思考停止」に挑戦する

少し刺激的な見出しです。

誤解しないでください。

医学に挑戦する、という意味ではありません。

医療を否定するつもりもありません。

命に関わる病気を見つけること。

診断すること。

薬や手術によって治療すること。

これは整体にはできません。

私が挑戦したいのは、

「自律神経ですね」の一言で、その人を考えることを終えてしまう思考です。

そしてこれは医療だけの問題ではありません。

整体師が、

「骨盤ですね」

「姿勢ですね」

「自律神経ですね」

「年齢ですね」

と言った瞬間にも、同じ思考停止は起こります。

人間の身体は、そんなに単純ではありません。

だから面白いのだと思います。

検査では異常がない。

それでも症状がある。

では身体を動かしたらどうなるのか。

筋肉を押したらどうなるのか。

姿勢を変えたらどうなるのか。

仕事を休んだ日はどうなのか。

朝と夜で違うのか。

睡眠との関係はどうか。

一つずつ確認する。

そして、

分からないものは「分からない」と言う。

それも専門家として大切な態度ではないでしょうか。


まとめ|「自律神経」という言葉で分かった気にならない

自律神経は実際に存在し、私たちの身体のさまざまな機能を調節しています。

そして、自律神経の機能に問題が起こる病気も実際に存在します。

だから「自律神経なんて存在しない」という話ではありません。

私がお伝えしたいのは、

「自律神経」という言葉を使っただけで、なぜその人がつらいのか説明できた気にならないことです。

めまいなら、なぜめまいがするのか。

頭痛なら、どんな頭痛なのか。

首が硬いなら、なぜ硬くなっているのか。

眠れないなら、何が睡眠を邪魔しているのか。

一つずつ考える。

医療で確認すべきものは医療へ。

筋肉や関節、身体の使い方について整体でできることがあれば整体へ。

必要なら両方を使えばいい。

ふじさわ整体院は、

「自律神経を整えます」と言って話を終える整体院ではなく、その人の身体で実際に何が起きているのかを一緒に考える整体院でありたい

と思っています。

「自律神経ですね」

その一言で説明が終わったときこそ、

「では、なぜ?」

ともう一度考えてみてください。

そこから本当の原因探しが始まるかもしれません。

この記事を書いたスタッフ

院長 河原敏彦

ふじさわ整体院の院長です。
体のことを分かりやすくお伝えできるよう心がけております。お気軽にご質問ください。

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