整体院でAI。
少し大げさに聞こえるかもしれません。
「AIが痛みの原因を見つけてくれるの?」
「AIが施術方法を決めるの?」
と思われる方もいるかもしれません。
先にお伝えすると、当院ではそのような使い方はしていません。
AI姿勢分析だけで痛みの原因が分かるわけではありませんし、AIが施術者の代わりに身体を診てくれるわけでもありません。
では、なぜふじさわ整体院ではAI姿勢分析を取り入れているのか。
実際に使い続けてみて、私が感じている一番大きなメリットは、
「身体についての情報を共有しやすくなったこと」
です。
患者さんとの共有。
スタッフ同士の共有。
担当者が変わったときの共有。
そして、過去の自分の身体との比較。
AIというと最新技術のように聞こえますが、実際に使ってみると、私たちにとっては「身体を見るための共通の物差し」に近い存在です。
姿勢を見ることは、本当はかなり難しい
整体院ではよく、
「右肩が下がっていますね」
「少し頭が前に出ています」
「左に体重を乗せる癖がありますね」
といった説明をします。
簡単そうに聞こえますが、人の姿勢を正確に見るのは意外と難しいものです。
私自身、整体の仕事を始めたばかりのころと、何年も多くの身体を見てきた現在とでは、同じ姿勢を見ても気づくことがまったく違います。
肩の高さだけではありません。
頭の位置。
胸郭の傾き。
骨盤の位置。
膝や足の向き。
身体全体のバランス。
さらに、その人が立ったとき、歩いたとき、前に曲げたとき、後ろに反ったときにどう動くのか。
こうしたものを総合して見ていきます。
これは、教科書を読んだだけですぐに身につくものではありません。
多くの方の身体を実際に見て、触って、動きを確認する。
それを何年も繰り返して、少しずつ「見る目」が養われていきます。
AIを導入したからといって、この経験が必要なくなるわけではありません。
むしろ、そこは今でも変わっていないと思っています。
それでもAI姿勢分析を使う理由

では、AIには何ができるのでしょうか。
私が実際に使っていて感じるのは、
「誰が見ても確認しやすい形にできる」
ということです。
施術者が、
「少し右肩が下がっています」
と言うだけでは、患者さんには分かりにくいことがあります。
でも写真に線が入り、左右を並べて見ると、
「あ、本当だ」
と分かります。
施術前と施術後を並べれば、
「最初はこんな立ち方だったんだ」
「ここは少し変わったんだ」
と、ご本人にも確認してもらえます。
AIが新しい事実を発見するというより、
もともと目の前にあった身体の状態を、みんなで共有しやすくしてくれる。
私にとっては、こちらの方がAI姿勢分析の本当の価値に近いです。
「感覚」だけではなく、客観的な材料を残せる

整体では、どうしても主観的な部分があります。
「今日は軽いです」
「前より動きやすいです」
「なんとなく姿勢が良くなった気がします」
こうした感覚はとても大切です。
一方で、人の感覚は日によって変わります。
昨日より楽でも、
「最初がどれくらいつらかったか」
を数週間後には忘れてしまうこともあります。
姿勢写真やレポートを残しておくと、そのときの状態を後から確認できます。
ただし、
「写真が変わった=身体が治った」
という意味ではありません。
撮影時の立ち方によっても姿勢は変わります。
痛みや動きやすさと、写真上の変化が必ず一致するとも限りません。
だから当院では、姿勢分析だけを見るのではなく、
痛みの変化
身体の動き
可動域
日常生活で困っていること
筋肉や関節の状態
などと合わせて考えています。
AI分析は、あくまで身体を見るための材料の一つです。
実は、スタッフ間で身体の状態を共有しやすくなった

AI姿勢分析を導入して感じているメリットは、患者さんへの説明だけではありません。
スタッフ同士で情報を共有しやすくなりました。
整体院では、いつも同じ施術者が担当できるとは限りません。
担当者が休みの日。
予約時間の都合。
急な予定変更。
こうした理由で、別の施術者が担当することもあります。
いわゆる「代診」です。
このとき、
「前回どんな姿勢だったのか」
「どこを確認していたのか」
「どのような変化があったのか」
が画像やレポートとして残っていると、引き継ぎがしやすくなります。
カルテの文章だけでは伝わりにくいことでも、写真を見ると一目で分かることがあります。
これは患者さんにとっても大きなメリットです。
担当者が変わるたびに、一からすべて説明し直す必要が少なくなります。
担当者による「差」をできるだけ小さくしたい

整体は、人が行う仕事です。
当然ですが、経験年数も違えば、得意なことも違います。
ベテラン施術者と、入ったばかりの施術者が、まったく同じように身体を見られるわけではありません。
私自身も、新人のころは今ほど身体を見られていませんでした。
これは当たり前のことだと思っています。
ただ、院として考えたときに、
「担当者によって説明がまったく違う」
という状態は、できるだけ減らしたい。
そこで役立つのが、共通の評価方法です。
写真。
姿勢分析。
動作確認。
カルテ。
こうしたものを組み合わせることで、
「最低限ここは確認しよう」
という共通の基準を作ることができます。
AI姿勢分析には、サービスのばらつきを小さくする役割もあります。
AIを使えば、新人でもすぐ身体を見られるようになるのか
ここは少し正直に書いておきたいところです。
AI姿勢分析を使うと、経験の浅い施術者でも、ある程度姿勢を確認することができます。
画面に線が表示され、
肩の高さ
頭の位置
身体の傾き
などを見ることができるからです。
すると、少し身体を見られるようになった感覚になります。
ただし、本当に身体を見る力が身についたかというと、それは別の話です。
AIが、
「ここに左右差があります」
と教えてくれても、
なぜそうなっているのか。
その左右差は症状と関係しているのか。
そもそも問題として考える必要があるのか。
そこまでは簡単には分かりません。
結局、そこから先は人が考える必要があります。
多くの身体を見て、
仮説を立てて、
実際に動かして、
結果を確認する。
この繰り返しは必要です。
AIは経験を飛び越える道具ではありません。
ただ、経験を積んでいくための入口としては、とても便利だと思っています。
AIを使うことで、施術者自身の「見る目」も鍛えられる
これは導入前には、それほど考えていなかったメリットです。
自分が目で見て、
「この人は少し右に傾いているかな」
と思ったあとに、画像で確認する。
逆にAIでは差が出ているけれど、
「実際に動いてもらうと、それほど問題には見えない」
ということもあります。
こうした照らし合わせを繰り返すことで、
「自分の見方は合っていたのか」
を確認できます。
新人教育でも同じです。
ただ、
「ここを見て」
と教えるよりも、
実際の画像を一緒に見ながら、
「なぜここを見るのか」
「これはどう考えるのか」
と話した方が理解しやすい。
AIは患者さんへの説明だけではなく、施術者側の技術や観察力を高めるためにも使えます。
初回だけでは伝わらなかった変化に、後から気づくこともある

実際にあった出来事です。
初回の施術を受けたあと、その後のご来院が一度途切れてしまった方がいました。
後日、初回に撮影した姿勢分析のレポートをLINEでお送りしました。
すると、
「こんなに変化していたんですね」
と、ご本人が改めて身体の変化に気づかれました。
施術直後は、
「少し軽くなったかな」
くらいにしか感じていなかったそうです。
でも、BeforeとAfterを並べて見ることで、
「思っていたより変わっていた」
と感じられた。
その後、またご相談をいただくご縁につながりました。
これは、私自身かなり印象に残っています。
施術者側では、
「ここが変わった」
と分かっていても、それをご本人が理解しているとは限りません。
伝えたつもり。
分かってもらったつもり。
それでは足りないことがあります。
画像やレポートがあることで、
施術が終わったあとでも、自分の身体をもう一度確認できます。
これもAI姿勢分析を使う大きな理由です。
2回目にレポートをお渡しする理由
当院では、初回ですべてを説明しきろうとは考えていません。
初めて整体院に来ると、
問診を受けて、
身体を検査して、
施術を受けて、
セルフケアの説明を聞いて、
かなり多くの情報が入ってきます。
その場では理解したつもりでも、家に帰ると忘れてしまうこともあります。
そこで、姿勢分析の結果を後から改めて確認していただくことがあります。
初回の状態を振り返りながら、
「ここを見ていました」
「前回はこうでした」
「今日はここを確認しましょう」
と説明する。
こうすると、初回と2回目が一本につながります。
ただ「また来てください」と言うよりも、
前回の情報を一緒に振り返る方が、何のために続けて身体を見るのかが分かりやすいと考えています。
AI姿勢分析で「原因」が分かるわけではありません

ここは誤解してほしくないところです。
姿勢が傾いている。
頭が前に出ている。
肩の高さが左右で違う。
だから腰痛や肩こりの原因はこれです。
そう単純には考えていません。
人にはもともと左右差があります。
多少姿勢が崩れていても、まったく痛みがない方もいます。
逆に、写真上ではきれいに見えても、強い痛みがある方もいます。
そのため当院では、
AIの姿勢分析
カウンセリング
動作確認
筋肉や関節のチェック
実際の症状
生活習慣
などを合わせて身体を考えます。
AIの点数だけを追いかけることもしません。
スコアが良くなることより、
本人が楽に生活できることの方が大切だからです。
AIを導入して分かった、本当のメリット
AIというと、
「人間より正確」
「何でも分かる」
というイメージを持たれやすいと思います。
私も導入前は、
「どこまで分析できるのだろう」
というところに興味がありました。
でも、実際に使ってみて感じている価値は少し違いました。
身体の状態を客観的に残せること。
患者さんと情報を共有できること。
スタッフ同士で情報を共有できること。
担当者が変わっても引き継ぎやすいこと。
施術者による評価のばらつきを小さくできること。
新人が身体を見る視点を学ぶきっかけになること。
施術者自身が、自分の観察を振り返れること。
そして、患者さん自身が後から自分の身体の変化に気づけること。
こうした積み重ねの方が、実際の臨床ではずっと役に立っています。
最後に
当院では、AIに身体を診てもらおうとは考えていません。
AIが施術者の経験を代わりにしてくれるとも思っていません。
身体を見る力は、実際に人の身体を見て、触れて、考えて、経験を重ねることで身につくものです。
その一方で、人の目や感覚だけでは、共有しづらいこともあります。
だから私たちはAIを使っています。
施術者と患者さんが同じものを見る。
スタッフ同士で同じ情報を見る。
前回の自分と現在の自分を比べる。
そのための「共通の物差し」です。
AIで答えを出すのではなく、
AIも使いながら、身体について一緒に考える。
ふじさわ整体院では、そのような使い方をしています。
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