「夜になると決まったように片方の目の奥が痛くなる」
「痛くて横になっていられず、じっとしていることもできない」
「涙や鼻水まで出てくる」
このような激しい頭痛を繰り返している場合、群発頭痛の可能性があります。
群発頭痛は、一般的な肩こりに伴う頭痛や片頭痛とは特徴が大きく異なります。
私は整体師として頭痛のある方を長くみてきましたが、群発頭痛については最初にはっきりお伝えしたいことがあります。
群発頭痛が疑われる場合、まず整体ではなく医療機関で診断を受けてください。
そしてもう一つ。
群発頭痛には、一定期間に発作を繰り返したあと、発作が起こらなくなる「群発期と寛解期」があります。
そのため、整体へ何回か通っている間に頭痛がなくなったとしても、「整体を受けたから群発頭痛が改善した」と簡単に判断することはできません。
この記事では、群発頭痛の特徴、片頭痛や緊張型頭痛との違い、病院で行われる治療、そして整体院として群発頭痛をどのように考えているのかを、できるだけありのままにお伝えします。
群発頭痛とは

群発頭痛は、非常に強い痛みを繰り返す一次性頭痛の一つです。
国際頭痛分類ICHD-3では、典型的な群発頭痛は片側の目の周囲・目の上・こめかみ付近に非常に強い痛みが起こり、治療しなければ1回の発作が15~180分程度続くとされています。
発作の頻度も特徴的です。
人によって違いはありますが、群発期には2日に1回程度から、多い場合には1日に何度も発作を繰り返すことがあります。
さらに痛みと同じ側に、
目が充血する、涙が出る、鼻がつまる・鼻水が出る、まぶたが腫れる・下がる
といった症状を伴うことがあります。
片頭痛では静かな場所で横になりたくなる方が多いのに対して、群発頭痛ではあまりの痛さにじっとしていられず、歩き回ったり落ち着かなくなったりすることがあるのも特徴です。
「群発」という名前の意味

群発頭痛で非常に重要なのが、痛みが単発で終わるとは限らないことです。
発作が数週間から数か月にわたってまとまって起こる時期があり、これを一般に群発期と呼びます。
その後、数か月あるいはそれ以上発作が起きない寛解期に入ることがあります。
つまり、
「ものすごく痛かったのに、ある時期を境に突然起こらなくなった」
ということ自体が、群発頭痛では起こり得ます。
ここが、後ほどお話しする治療効果の判定を難しくする理由でもあります。
群発頭痛・片頭痛・緊張型頭痛は何が違う?

「頭痛」と一括りにされがちですが、この3つにはかなり違いがあります。
| 群発頭痛 | 片頭痛 | 緊張型頭痛 | |
|---|---|---|---|
| 痛む場所 | 片側の目の奥・目の周囲・こめかみ | 片側が多いが両側の場合もある | 両側に起こることが多い |
| 痛み方 | 非常に強い激痛 | ズキズキすることが多い | 圧迫される・締め付けられる感じ |
| 典型的な持続時間 | 15~180分 | 4~72時間 | 30分~数日 |
| 発作中の様子 | じっとしていられないことがある | 動くとつらく、休みたくなることが多い | 日常動作で悪化しにくい |
| 随伴症状 | 涙、目の充血、鼻水、鼻づまりなど | 吐き気、光や音がつらいなど | 吐き気は通常伴わない |
もちろん、実際の症状が教科書通りに分かれるとは限りません。
自分で「これは群発頭痛だ」「これは肩こり頭痛だ」と決めるための表ではなく、診断の手掛かりとして医療機関に相談するための情報と考えてください。
「目の奥が痛い=群発頭痛」とも限りません
ここも非常に大切です。
片側の目の奥が激しく痛むからといって、必ず群発頭痛とは限りません。
頭痛には一次性頭痛だけでなく、脳や血管などの病気によって起こる二次性頭痛もあります。
特に、
突然始まり短時間でピークに達した激しい頭痛、今まで経験したことのない頭痛、手足や顔の麻痺・しびれ、ろれつが回らない、意識がおかしい、高熱などを伴う頭痛では、整体を受ける前に速やかに医療機関を受診してください。
脳卒中やくも膜下出血など、緊急性の高い病気でも強い頭痛が起こることがあります。
「首が凝っているからだろう」
「寝れば治るだろう」
と自己判断してしまわないことが大切です。
群発頭痛は何科に行けばいい?

群発頭痛が疑われる場合は、脳神経内科・脳神経外科・頭痛外来などで相談することをおすすめします。
特に初めて経験する激しい頭痛では、まず他の病気による頭痛ではないことを確認する必要があります。
群発頭痛は症状の特徴から診断されますが、必要に応じて画像検査などが行われ、他の病気が隠れていないか確認されることがあります。
できれば受診するときに、
「何時頃に始まったか」「何分くらい続いたか」「右か左か」「涙や鼻水は出たか」「1日に何回くらい起きたか」
などを記録しておくと、診察時の大切な情報になります。
群発頭痛には治療法があります

群発頭痛は「ひたすら痛みに耐えるしかない病気」ではありません。
現在は医療機関で行われる治療があります。
急性期、つまり発作が起こったときの治療では、高濃度酸素吸入やトリプタン製剤などが用いられます。
また、群発期に発作を繰り返さないようにするための予防治療もあり、患者さんの状態に合わせて医師が薬剤などを選択します。
日本頭痛学会でも群発頭痛に対する在宅酸素療法のガイドラインが公開されています。
ですから、
「薬を飲んでも意味がないのでは」
「整体やマッサージで何とかした方がいいのでは」
と考えて医療機関を避けてしまう必要はありません。
むしろ、典型的な群発頭痛が疑われるのであれば、まず適切な診断を受け、群発頭痛に対する治療につながることが最優先です。
群発頭痛に整体は効果があるのか?

ここからは、整体院を運営している私自身の考えをお話しします。
私は頭痛や首・肩の症状がある方をこれまで数多くみてきました。
しかし群発頭痛について、
「整体を何回受ければ改善します」
とは私は言えません。
むしろ、群発頭痛ほど整体の効果判定が難しい頭痛の一つだと思っています。
その大きな理由が、先ほど説明した群発期です。
例えば群発期に入っている方が整体へ通い始めたとします。
週に何回か施術を受け、3週間後に群発頭痛が起こらなくなった。
一見すると、
「整体を受けたから治った」
ように見えるかもしれません。
しかし、本当にそうでしょうか。
群発頭痛はもともと一定期間に発作を繰り返し、その後自然に群発期が終わることがあります。
つまり、
整体によって発作がなくなったのか、もともとの群発期が終了したのかを区別することが難しいのです。
これはとても重要なことだと私は考えています。
「良くなった」と「整体が効いた」は同じではありません
施術後に症状がなくなれば、施術者としては「自分の施術が効いた」と考えたくなるものです。
患者さんも、
「整体に通い始めてから発作がなくなった」
と感じるかもしれません。
しかし、症状が良くなったという事実と、その原因が整体だったということは分けて考えなければいけません。
特に群発頭痛のように、もともと発作がまとまって起こる期間と、発作が起こらない期間を繰り返す病気ではなおさらです。
現在の医学的なガイドラインでも、群発頭痛の中心となる治療は酸素療法や薬物療法などであり、整体や徒手療法が群発頭痛そのものの標準治療として推奨されているわけではありません。
だから私は、
「群発頭痛を整体で治します」
とはお伝えしません。
それが、群発頭痛で本当に苦しんでいる方に対して一番誠実な説明だと思っています。
では整体でできることは何もないのか?
群発頭痛そのものを治療することと、身体のつらさに対応することは分けて考える必要があります。
群発頭痛がある方でも、首や肩のこり、背中の張り、長時間のデスクワークによる身体の疲労などを同時に抱えていることはあります。
すでに医療機関で群発頭痛と診断され、必要な治療を受けている方が、
「頭痛とは別に首肩がつらい」
「群発期以外にも身体の緊張が強い」
といったことで困っているのであれば、その部分について整体がお手伝いできる可能性はあります。
ただしそれは、
首肩をほぐせば群発頭痛が治る、という意味ではありません。
群発頭痛の治療と、首肩や身体のコンディショニングは分けて考える。
当院ではこの線引きを大切にしています。
首や肩が凝っているからといって、すべての頭痛の原因が首肩とは限らない
整体院には首や肩のつらさを伴う頭痛の方も多く来院されます。
そのため私自身も、首肩の筋緊張と頭痛との関係を考える機会は非常に多くあります。
しかし、
「頭痛=首肩こり」ではありません。
特に群発頭痛のような特徴的な頭痛を、単純に「首の筋肉が硬いから」「姿勢が悪いから」と説明するのは適切ではないと考えています。
身体をみる仕事だからこそ、
整体でみてよいものと、まず医療へつなぐべきものを区別する。
これは施術技術と同じくらい大切なことです。
群発頭痛かもしれないと悩んでいる方へ
もし今、
片方の目の奥に非常に強い痛みがあり、涙や鼻水などを伴い、同じような発作を何度も繰り返しているのであれば、一度きちんと医療機関へ相談してください。
特に初めて経験する激しい頭痛を、自己判断で「群発頭痛だろう」と決めることはおすすめできません。
一方、すでに医療機関で群発頭痛と診断され、適切な治療を受けたうえで首肩のこりや身体の緊張にも悩んでいるのであれば、その部分については私たち整体師がお役に立てることもあります。
治療できるものは治療する。
整体でできることは整体で行う。
できないことまで、できるとは言わない。
頭痛で苦しんでいる方にとって、本当に必要なのは「整体か病院か」の二者択一ではなく、状態に応じて適切な場所を選ぶことだと私は考えています。
まとめ
群発頭痛は、片側の目の奥などに非常に強い痛みが起こり、一定期間に発作を繰り返す特徴的な頭痛です。
片頭痛や緊張型頭痛とは症状や治療方法が異なり、医療機関では酸素療法や薬物療法などが行われます。
そして整体院として特にお伝えしたいのが、
群発頭痛は群発期と寛解期があるため、整体へ通っている途中で発作がなくなったとしても、それだけで「整体が効いた」と判断することはできない
ということです。
群発頭痛そのものは、まず医療機関で適切な診断と治療を受けてください。
そのうえで首肩のこりや身体の緊張など別の問題があるのであれば、私たちはその部分についてできることを考えていきます。
「何でも整体で治せる」とお伝えするよりも、
今の症状にとって何が一番必要なのかを一緒に考えること。
それが、当院が頭痛の方と向き合うときに大切にしていることです。
参考資料
国際頭痛学会「International Classification of Headache Disorders 3rd edition(ICHD-3)」
日本頭痛学会「頭痛の診療ガイドライン」「群発頭痛の在宅酸素療法(HOT)ガイドライン」
European Academy of Neurology「European Academy of Neurology guidelines on the treatment of cluster headache」
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