首が痛くて初めて整体を受けようと思っている。首をひねってボキボキされそうで不安。興味はあるけれど痛くないのかな?
この前いった整体でボキボキする施術を受けて、スッキリしたけど怖かった。先生には少し言いにくいな。あれは必ずやらないといけないものなの?
などとお悩みではないですか?
整体院のHPを見ると、「当院はボキボキしないソフトな施術で痛みがありません」と書いてあるところをよく見かけます。
ボキボキの施術は、痛くて危険なものなのでしょうか?本当によくない技術であるならば歴史をこえて継承されることはあり得ません。最初から「怖い」「不安だ」という感覚で先入観を持ってしまうのはもったいないかもしれません。
この記事では、カイロプラクティックの専門学校で学び院を経営している筆者が、少しでも公平な視点でメリットデメリットを比較していきます。
目次
・まとめ
ボキボキ施術の効果・メリット
ボキボキの効果は、4つあると言われています。それぞれ専門用語になってしまいますが、
①癒着の剥離
②ゲートコントロールによる和痛
③交感神経優位の抑制
④プラシーボ効果
が挙げられます。
耳慣れない言葉ですが、そんなに理解が難しいものはありません。それぞれ1つずつ説明していきます。
①癒着の剥離
関節をボキボキすると「くっついて動きが悪くなっていた部分が剥がれて動きが良くなる」という意味です。
背骨は24個の骨が積み木の様に重なってできています。日常動作で24個の骨をバランスよく動かすことは難しいです。動作や姿勢の癖で、いつもここの部分が動きが悪くなってしまうという現象が各人出てきます。(例えば首と頭蓋骨の間の関節のねじる動きが悪くなっているなど)
動きが悪くなっている関節を検査によって探り当て、バキっと鳴らすことで本来の可動域が回復する。これを癒着の剥離とよびます。
②ゲートコントロールによる和痛
ゲートコントロールというのも日常耳慣れないことばですね。決して難しいものではなく体感的には言われなくてもだれでも知っている現象です。
一番平たく言うと「感覚神経にある刺激を入力すると、それ以外の感覚が一時的に遮断される」という事です。
日常の例では
・蚊に刺されてかゆいけど、塗り薬が手元にないから爪ぐっと刺してかゆみを麻痺させる
・お腹が痛いから、撫でさすって何とか痛みを紛らわせようとする
・痛んでズキズキする箇所をとりあえず冷やしこんで、しのぐ
等が、これに当たります。
関節をボキボキ鳴らすと背骨から出る神経に、普段は味わったことのない感覚が大量に入力されます。
音が鳴るのは、関節の液体の中で気泡がはじけた証ですが、その時に最も強い刺激が入ります。
ボキボキされた直後に「何となく楽になった気がする」「気持ちよくて一時的に痛みを忘れる」のは、このゲートコントロールの仕組みによるものです。
③交感神経優位の抑制
「自律神経のバランス」という言葉を、よく耳にします。自律神経には2種類あります
●交感神経・・・興奮したり、不安があるときに働く
●副交感神経・・・リラックスしている時に働く
ボキボキの施術は、この自律神経のバランスも整える効果があることが分かっています。
②のゲートコントロールによる和痛、と重なる部分も多いですが、ボキッと鳴らして痛みを和らげることと相まって、神経の興奮も鎮めることが出来ます。
もっと強調して言うなら、世の中にはいろんな手技療法がありますが、このボキボキ以上に直接的に背骨から出る神経にアプローチできる技は他にないのではないでしょうか?
④プラシーボ
プラシーボの定義は以下のとおりです。
有効成分が含まれていない薬剤(偽薬、プラセボともいわれる)によって、症状の改善や副作用の出現が見られること。 偽薬効果ともいわれる。
平たく言うと「思い込みでよくなる」という事です。
音が鳴ったことで、なんとなく、ズレた骨が元に戻ったような気分になります。
実際にはボキボキの音は、関節の液体の中で気泡がはじけた音であることが科学的に証明されています。
ボキボキの音とともにズレが治るわけはないのですが、すっきりするのは事実です。
整体かかる方というのは、元々体も心も弱っています。気分の問題というのは軽視できないものです。
以上、見てきたようにボキボキの施術というのは、「メリットがある」という事が確かめられているものです。
「うちの施術院ではやりません」「私はできません」というのは、施術者がわざわざ誇らしげに言う事ではないと考えます。
ボキボキ施術のリスク・デメリット
私は10年以上にわたって施術経験を積み年間3000人以上の方の施術に当たってきました。院長として人の育成にも力を注ぎ、5人以上のスタッフが一人前になっていく姿を見守ってきました。(自慢できるほど多くはないですが、たった1人でも一人前にするのは数年かかります)
その中でボキボキのデメリットとして挙げられるのは以下の4つが大きいと考えます。
①技術が未熟であると無理に鳴らすことになり、やられる方は怖い
②疾患がある方にやるのは危険
③そもそもボキボキ鳴らされるのが嫌な方がいらっしゃる
④そもそもボキボキと音が鳴りにくい方がいて、効果に個人差が大きい
一つずつ説明していきます。
①技術が未熟であると無理に鳴らすことになり怖い
技術的な習得が難しすぎる、という点です。
自在にならせるレベルまで習得できるまでに5年10年かかったという話もよく耳にします。(上手下手問わず、ただ鳴らすだけならそんなに難しくはないです)
ボキボキ音を鳴らすことが目的になってしまうと、急激な操作、本来の可動域を無視した操作へと傾いてしまい、リスクが増大します
②疾患がある方にやるのは危険
整体に来られる方は心身の健康が万全でないのが通常です。
ただ筋肉が硬く骨格が歪んでしまっているだけでなく、その他の疾患を併発している可能性を常に念頭に置かなければなりません。
特に「椎骨動脈解離」という疾患がある方に首のボキボキをやる事はリスクが高すぎることが知られています。
その他にも
☑ペースメーカーをつけている
☑骨粗しょう症で、圧迫骨折の可能性がある
☑椎間板ヘルニアや関節リウマチなどの疾患で骨が変形している
場合にもボキボキ関節を鳴らすことは避けるべきです。
初期症状で、まだ疾患が発見されていないだけという事もあり得ます。未知の疾患もあるでしょう。
想定されるリスクを数え上げればきりがありません。問診や検査がなおざりなまま突発的な施術を行うことがいかに危険か思い知らされます。
当然、日本のどの整体院でもMRI・CTなどを使って画像診断をすることはできません。
③そもそもボキボキ鳴らされるのが嫌な方がいらっしゃる
過去に、整体やカイロで施術を受けて、乱暴な操作で、骨をバキバキとならされトラウマの様になっていらっしゃる方が、いらっしゃいます。
整体院はリラクゼーションサロンとは目的が違いますが、施術を受けている間は心からリラックスしていることが望ましいと考えます。
病院の処置であるならば痛かろうが怖かろうが、効果があるなら我慢してでも受けなければならないこともあるでしょう。
整体院はそれとはまったく別の安らぎの空間でありたいものです。
④そもそもボキボキと音が鳴りにくい人がいて、効果に個人差が大きい
ボキボキの音は、関節を滑らかに動かすためにある関節滑液が気化した時の音だと述べました。
私も学校や現場で、バキバキ鳴らす練習をし、自身も何度もやられたこともありますが、間違いなく「なりやすい人」「なりにくい人」が存在します。
大雑把に言って、若くて関節の動きが良い人ほど音がなりやすいです。年齢を重ね、可動域が大幅に制限されている人を鳴らすのは至難の業です。(90歳を超えた人でも何の造作もなくバキバキが出来るという神業名人芸の方も実在しますが)
以上、バキバキ施術には、なかなか軽視できないデメリットが複数あるのが事実です。
このデメリットの中には
①技術の向上によって克服できるもの
②どんなに技術が高い人でも避けられないもの
があります。②のほうが当然、やっかいです。どんなに努力しても今後も克服できない課題と言えます。
カイロプラクティックの検査法によって、関節の状態や血管の中まで見ることは出来ません。ボキボキによって健康を損ねるリスクはぬぐい切れません。
厚生労働省のガイドラインでは「医業類似行為に対する取扱いについて」として以下の様に通告されています。
カイロプラクティック療法の手技にはさまざまなものがあり、中には危険な手技が含まれているが、とりわけ頸椎に対する急激な回転伸展操作を加えるスラスト法は、患者の身体に損傷を加える危険が大きいため、こうした危険の高い行為は禁止する必要があること
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/hourei/061115-1a.html
バキバキは首だけでなく、腰や背中の骨も鳴らすことができます。すべてが禁止されているわけではないですが、とくにリスクが高い頚椎のバキバキは「禁止」とされています。
メリットとデメリットを比較すると、ボキボキは必要?
ボキボキを至高の施術法と信じてなさっている方の前では言いにくいですが…
正直デメリットの方が目立つというのが、率直な意見です。
では次に検討すべきことは「ボキボキ施術の効果」は他の追随を許さないほど「オンリーワンで特別な効き目があるのか」という事になろうかと思います。
ボキボキしないと治らない体の不調があるの?
結論から申しますと「ない」です。
ボキボキ施術は、先に述べたように効果が確かめられているものです。
関節の可動域を増大させ、痛みを和らげ、神経の興奮をおさえます。
自律神経症状といわれるもろもろの不定愁訴を解決する可能性を秘めています。病院では扱ってもらえないような体の不調と闘うことができます。
素晴らしいことですが、他の施術法をとってもこれらの効果を代替することは十分に可能なのです。
では当院がとっているボキボキ以外の施術法「トリガーポイントセラピー」について次に述べていきます。
ボキボキ以外の施術法はなにがある?
当院で行っている「トリガーポイントセラピー」とは一言でいうと「筋肉の硬結に対するアプローチ」です。
筋肉へのアプローチと聞くと「マッサージのことなのか?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、アプローチの方法が違います。
筋肉は下の図のように、必ず骨から骨にまたがってついています。
関節を動かすために本来は柔軟性をもって自由に伸び縮みするものですが、硬結が出来てしまうと動きが制限されます。
我々は、この筋肉の硬結をリリース(解放)していくことで、ボキボキ施術と同じように
◎関節の可動域を増大させ
◎痛みを和らげ
◎神経の興奮をおさえます。
このトリガーポイントセラピーにリスクやデメリットがあるかというと、目立ったものはほとんどないといえるでしょう。
老若男女問わず、効果が安定して出しやすい施術法であると言えます。
手技療法においては、一つのやり方にこだわりすぎることなく、さまざま手段を取って目的に向かう(ご来院者様を健康にする)ことが大切であると考えています。
当院では
①関節に対するアプローチ(ボキボキだけでなく関節を動かす手技)
②筋肉に対するアプローチ(トリガーポイントセラピー)
③生活習慣に対するアプローチ(姿勢やエクササイズの指導)
の3つの柱に力を入れています。整体で扱う症状は、日常の生活習慣に原因が根差しているものです。特別な神業施術で一発で治す、というような方向は目指さない方が賢明です。
まとめ
●ボキボキ施術にはメリットもあるが、それを超えるデメリットも
●厚生労働省のガイドラインで首のボキボキは禁止されている
●ボキボキにこだわらなくても同じ効果を出す施術法はある
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