味噌汁は本当に体にいい?
日本の食卓ではおなじみの味噌汁。
「発酵食品だから体にいい」
「毎日飲んだ方が健康にいい」
と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
一方で、味噌汁というと塩分が気になる方もいると思います。
味噌は、大豆などを原料として麹と塩を加えて発酵・熟成させて作る、日本の伝統的な発酵食品です。
たんぱく質をはじめ、さまざまな栄養成分を含んでいます。
ただし、「味噌汁を飲めば病気を予防できる」「味噌には○○を治す効果がある」と単純に考えるのは適切ではありません。
この記事では、味噌や味噌汁について分かっていることを整理しながら、毎日の食事に取り入れるときのポイントをご紹介します。
①味噌にはどんな栄養が含まれている?
味噌の主な原料である大豆は、植物性のたんぱく質を多く含む食品です。
味噌には種類や製法による違いがありますが、主に、
- たんぱく質
- 脂質
- 炭水化物
- ビタミン類
- ミネラル類
などが含まれています。
さらに、大豆そのものに含まれる大豆イソフラボンなどの成分もあります。
味噌の特徴は、大豆などの原料をそのまま食べるのではなく、麹を使って発酵・熟成させていることです。
発酵・熟成の過程では、原料に含まれるたんぱく質などが分解され、味噌独特の風味やうま味が作られていきます。
ただし、「発酵食品だから大量に食べるほど健康になる」というものではありません。
普段の食事の中で適量を楽しむことが基本です。
②味噌汁のメリットは「具材を一緒に食べられる」こと

味噌汁の良いところは、味噌だけではありません。
むしろ普段の食生活を考えると、さまざまな具材を一つの料理として食べやすいことが大きなメリットです。
たとえば、
豆腐、わかめ、きのこ、ねぎ、大根、にんじん、白菜、里芋など。
組み合わせによって、野菜や海藻、きのこ類、大豆製品などを一緒に摂ることができます。
忙しい朝に何品ものおかずを用意するのは大変でも、具だくさんの味噌汁なら一杯の中にいろいろな食品を入れられます。
その意味では、
「味噌だけの健康効果」を期待するより、味噌汁を利用して食事全体のバランスを整える
という考え方の方が実用的です。
③「味噌汁を飲むと胃がんになりにくい」は本当?
以前から、味噌や味噌汁と胃がんとの関係についてはさまざまな研究が行われてきました。
この記事の旧版でも、1980年代に報告された「味噌汁を多く飲む人ほど胃がん死亡率が低かった」という研究を紹介していました。
ただし、ここは注意が必要です。
こうした観察研究で関連がみられたとしても、
「味噌汁を飲んだから胃がんが予防できた」
と因果関係まで証明されたことにはなりません。
食生活は、味噌汁だけで決まるものではありません。
野菜や果物の摂取量、飲酒、喫煙、塩分摂取量、生活習慣など、さまざまな要因が関係します。
そのため現在の記事では、
「味噌汁を飲めばがんを予防できる」といった表現はしません。
特定の食品だけに病気の予防効果を期待するのではなく、食事全体を見ることが大切です。
④味噌と血圧については「塩分」も考えよう
味噌汁について、もう一つよく話題になるのが血圧です。
過去には味噌に含まれる成分と血圧との関係を調べた研究も行われてきました。旧記事でも1990年代の研究を紹介していました。
ただし、味噌には食塩も含まれています。
高血圧の予防や管理を考えるうえでは、食品単体の作用だけではなく、一日の食塩摂取量全体を見ることが重要です。
味噌汁を飲む場合も、
「健康にいいらしいから何杯でも飲む」
という考え方ではなく、量や濃さ、ほかの食事とのバランスを考えましょう。
⑤味噌汁の塩分が気になるときの工夫

「味噌汁は好きだけれど塩分が気になる」という方は、味噌を極端に減らして味気なくする必要はありません。
たとえば、
- だしをきかせる
- 野菜やきのこなど具材を増やす
- 汁の量を必要以上に増やさない
- 味噌を入れすぎない
- 漬物や加工食品など、ほかの食事の塩分も合わせて考える
といった工夫があります。
特におすすめなのは具だくさんにすることです。
味噌汁を「汁をたくさん飲む料理」ではなく、「野菜などの具材を食べる料理」と考えると、食事にも取り入れやすくなります。
なお、高血圧や腎臓病などで食塩摂取量について医師や管理栄養士から指導を受けている方は、その指示を優先してください。
⑥毎日味噌汁を飲んでもいい?
健康な方であれば、味噌汁を毎日の食事に取り入れること自体を過度に心配する必要はありません。
ただし、
「毎日飲めば健康になる」
「飲めば飲むほどよい」
というものでもありません。
大切なのは一日の食事全体です。
朝は味噌汁を飲んだけれど、昼と夜は外食や加工食品が多かったという日もあるでしょう。
逆に味噌汁を飲まなくても、野菜、魚、大豆製品などをバランスよく食べている方もいます。
一つの食品を「健康食品」のように扱うのではなく、普段の食事を整える選択肢の一つとして味噌汁を利用するくらいがちょうどよいと思います。
⑦味噌汁は「何を入れるか」で楽しみ方が広がる
味噌汁は、地域や家庭によって味が大きく違います。
赤味噌、白味噌、合わせ味噌など味噌そのものにも種類がありますし、具材も家庭によってさまざまです。
豆腐とわかめだけでもいいですし、冷蔵庫に余っている野菜をたくさん入れても構いません。
豚肉や根菜類を入れれば豚汁になります。
「健康のために毎日飲まなければ」と義務のように考えるより、普段の食事をおいしくする日本の発酵食品として楽しむのが一番ではないでしょうか。
まとめ|味噌汁だけに「健康効果」を求めすぎない

味噌は、大豆などを発酵・熟成させて作られる日本の伝統的な食品です。
味噌汁にすれば、野菜、海藻、きのこ、豆腐などさまざまな食品を一緒に食べることもできます。
一方で、過去の研究結果だけを取り上げて、
「味噌汁でがんを予防できる」
「味噌汁で血圧が下がる」
「味噌を食べれば老化を防げる」
と断定するのは適切ではありません。
この記事も2017年の公開当初は、そうした研究を中心に味噌の「効果」を紹介していました。
今回改めて内容を見直し、特定の食品を過大評価するのではなく、食事全体のバランスの中で味噌汁を楽しむことが大切という内容に更新しました。
身体をつくるのは、毎日の食事と生活の積み重ねです。
無理なく、おいしく続けられる食生活を大切にしていきましょう。
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